

Milano Design Week 2025 参加レポート <後編>
先日弊社も参加して参りました「Milano Design Week」(ミラノデザインウィーク)(Rho Fiera Milano大展示場での「Salone del Mobile.Milano」(ミラノサローネ)と、Saloneの”外側”の意で、ミラノ市内各所で開催される「Fuorisalone」(フオーリサローネ)の両方を合わせた総称)の参加レポート、今回はその後編をお届け致します。
Day #3 Wednesday, April 9
ミラノサローネ会場2日目は滞在中のホテルから徒歩でCertosa(チェルトーザ)駅へ。道中、この地区でもDesignイベントが行われていることがわかる看板や路面ペイントがありました。Rho Fiera Milano駅から会場へ向かう通路は1日目より人が増えた感覚。

本日はHall 01から探索。Incanto Italia(インカント・イタリア)のボリューム感たっぷりの包容力のあるソファや、メッシュ素材にくるまれた特徴的な照明を拝見。1975年創業、ハンドクラフトの美しい大理石を提供するStone International(ストーン・インターナショナル)のテーブル達。Hall 03ではモロッコやブラジル、ポルトガル、ルーマニア等海外ブランドのStandも楽しめました。Hall 05のSANGIACOMO(サンジャコモ)はキャビネットを中心に展開する上質なモダンイタリアファニチャーで、大きなStandにかなりの人が集まっていました。




また、今回は35歳未満のデザイナーに特化したイベント第26回「SaloneSatellite(サローネサテリテ)」にも足を運びました。若きデザイナーたち自らが、小さな部屋のようなそれぞれのブースに立ち、緊張しながらも訪問者に一生懸命デザインの説明をしている姿がとてもフレッシュで素敵でした。Salone Satellite Permanent Collectionというパネルには、過去、このSalone Satelliteから排出されたデザイナー達の名作が描かれており、実際にこれらの作品は会場のあちこちで見受けられましたので、今回出展している新しい才能達の作品も未来のミラノサローネの会場中で花開く姿が想像でき、デザインの登竜門的立場であるこのスペースが輝いて見えました。
Hall 11ではスペインの時計メーカー、nomon(ノモン)を訪れました。弊社でも直接取引をしており、とても人気のあるブランドです。今回はしっとりとベージュ色のトーンでまとめられ、和室のような趣が素晴らしかったです。

アワード最優秀賞は日本のデザイナーが選ばれた



屋外のカフェエリアでの休憩にはぴったりの天気だった
Day #4 Thursday, April 10

私たちにとってのミラノサローネ会場参加3日目、最終日の本日。まずは今回も別棟の建物一棟丸々使用して展示していたRiva1920(リーヴァ)に入っていきます。Kauri(カウリ)という、ニュージーランドの亜熱帯気候でのみ生育する”森の王”と呼ばれる希少な無垢材を使用した贅沢なテーブルはまさに芸術作品です。また、はりねずみの形の”RICCIO”ベンチや櫛の形のコートラック”LA PETTINEUSE”、ブラシをモチーフにしたベンチ”GIACINTO”などは”Riva節”全開の2025年新作です。”木”という素材に密接に寄り添って制作を続けている彼らのリスペクトを感じました。

カテゴリーは多岐に渡る

奥のランダムな杭とガラスのローテーブルは”VENICE”


ブラシの”毛”の部分は手で緩やかに動かせる
この後は、2日間を通した中で印象深かったStandを再訪問していくことに。
GLAS Italia(グラスイタリア)。2020年東京オリンピックで聖火リレートーチのデザインも手掛けた日本人デザイナーの吉岡徳仁による”Prism glass wardrobe”がとりわけ目を引きました。
Piero Lissoniによる”Tete-a-tete”、ガラスのソファも静かな衝撃です。また、水面が波打つような表面の層状ガラス天板のテーブル”Contro Peso table”は液体状のガラスを型に流し込んで作る”poured glass(流し込みガラス)”を使用しています。会場初日に訪れたNature Designで撮影した”Blue”のようなテクスチャーキャストガラス(鋳型にガラスを乗せ窯の中で熔かし、表面に鋳型のテクスチャーを施したデザインガラス)製のものなど、今年のミラノサローネでは全編を通してこのような工夫を凝らしたガラステーブルをとても良く目にしました。今のトレンドと言えるでしょう。



Hall 09のDESALTO(デサルト)では、2023年に登場した”Maxi Clay”の、天板が大理石のバージョンが堂々と出迎え、全体として敢えてダークに抑えたトーンのStandが非常に洗練された空間を創り出していました。そしてラッカー塗装の”Micro Clay”があちこちにポップに展示され、インパクトを添えています。2024年作品、Francesco Rotaの”Clip”シーティングシステムも斬新でスタイリッシュでした。
今回もドイツのガーデンファニチャーブランド、GLOSTER(グロスター)のアウトドアはその質の高さを見せつけていました。”Deck” CollectionのDining Tableや”Ambient”シリーズの”Ray”アウトドアランプなど、素材の色合いが美しく映えます。




Hall 11のFlou x NATEVO(フルー x ナテヴォ)を再訪問。今回も巨大なスペースに新作が目白押しでした。”Elia”ベッド、”Madame Butterfly”アームチェア、NATEVOの”Ashaa”ランプなど。”Chiaro di Luna”ベッドサイドテーブルは曲線を描くワイヤーメッシュ構造でガラスと大理石が使用されており、サイズ展開や色合いも豊富で新しいスタイルの提案を感じました。Carlo Colomboによる”Toshi”は日本語の「都市」から来ており、現代都市の垂直性と調和にインスピレーションを得た”new sleeping group”とのこと。
ミーティングスペースでは豊富な張地も直接見られるようになっていました。10年以上直接取引のあるFlouの国内唯一の正規販売代理店である弊社でも、常にこれらの新しい張地を更新し、プレゼンテーションプレイスにてお見せしたり貸し出したりすることができます。お気軽にお問い合わせください。





余談ですが、会場参加最終日の今日になってやっと、入場時や各Standを訪問する際に提示するQRコードのホルダーとネックストラップを配布している場所を発見!エントランスではいつも混雑の中を掻き分けるように入場するので気づかなかったのですが、入口のすぐ近くの大きなトレイに置いてありました。QRコードはモバイルで提示する人が多いと思いきや、印刷したコードをこのホルダーに入れて首から下げて活用されている人もかなり多かったように思えます。初日にゲットされることをお勧めします!
午後、ミラノサローネの会場を後にし、この日の後半はミラノ市内に出て「Fuorisalone」(フオーリサローネ)の展示を観に行きました。

チケットをA4用紙に印刷し四つ折りにして入れる

ムッソリーニ時代の巨大な建築
ミラノ地下鉄1線のSan Babila(サン・バビラ)駅から徒歩でCappellini(カッペリーニ)のショールームへ。一昨年に訪れた際に”HOMAGE TO SHIRO”としてまとまった展示がされていた倉俣史朗作品が、今回はショールームのあちこちに点在する形でそれぞれの空間を引き締めており、一つ一つのデザインの力強さを再認識致しました。
前回来訪時にThinking Man’s Chairを撮影させていただいた建物の中庭は、今年はレイアウトもガラリと変わり、来場した関係者達が思い思いにくつろいだり商談したりなどをして過ごす、賑やかな空間となっていました。日本がとても好きだというCappelliniのスタッフの方が声をかけてくださり、コーヒーと手作りのブリオッシュをいただきながら(とても美味しかったです!)人々の合間を縫って今年も撮影をさせていただきました。

Cappellini “Revolving Cabinet”

とてもCoolなスタッフの方と”Inout”ベンチ


Lorenzo Damianiによる今年の新作”Mondo”ラグ

更に徒歩で市内を行き、FLOS(フロス)ショールームでPhilippe Starckデザインの”Bon Jour Unplugged”ポータブルランプがずらりと並んでいる入口を撮影。そしてすぐ隣にkvadrat(クヴァドラ)ショールームを発見。弊社でも取り揃えているファブリックやラグのサンプルが2フロアに分けられ見事に整然と並びます。吹き抜けの階段で2つのフロアが繋がれ、全面ガラスの壁面には所々カラーガラスのアクセントが施されているので、中庭からの明るい陽の光が鮮やかな色をショールームのフロアに映し出していました。色とりどりのテキスタイルの前にそっと置かれたkvadratファブリックを纏ったCassina(カッシーナ)の”UTRECHT”(ユトレヒト)アームチェアは、その空間で静かに日光浴しているようでした。
その後訪れたのはde Padova(デ・パドヴァ)のショールーム。日本人デザイナー佐藤オオキ(Oki Sato)率いるデザインカンパニー、nendo(ネンド)の作品”Ishi”の、脚部が大理石のバージョン”Ishi Stone”が部屋の中央に静かに配置され、その上に下げられたTime&Styleによる”Drop Paper Lamp”と非常に美しいコラボレーションを生み出していました。



そのままモンテナポレオーネ方面へ歩き、HENGE(エンジ)のショールームへ。彼らは徹底した”素材研究”に根差したブランドで、世界中から探し求めた特別な”素材”の特性を活かす製造工程に力を注いでいるとのこと。繊細な職人技からなるテーブル”Oxymoron”のWalnut無垢材を融合した天板のモザイクパターンは一つ一つがユニークで、二つと同じものはないそうです。また、Ice Onyx大理石のアイランドキッチン、”Oneon”の存在感は人々を釘付けにしていました。


同じくspiga通りのGiorgetti(ジョルジェッティ)を訪ねます。一昨年こちらで出会ったアジア・オセアニア地域の責任者の方とも再会できました。今回の展示の目玉は、Giorgettiのクリエイティブ・ディレクターGiancarlo BosioとMaserati(マセラッティ)のヘッド・オブ・デザインKlaus Busseのクリエイティブチームによって連携して開発された”Giorgetti Maserati Edition interior collection”。厳かに並ぶソファやラウンジチェア、サイドテーブルなどのコレクションが揃った空間は、まるで最高級の車に乗っているかのような感覚。大勢の来訪者が訪れ、思い思いに撮影していました。



外の空気を味わいながら休憩する人々

ライトアップされた夜の様子
Day #5 Friday, April 11
出張最終日、ショールーム探訪を続けていると奇跡的なショールームに辿り着きました。今回のミラノサローネ・フオーリサローネで印象的だった数々のブランド、デザイナー達の名作が改めて勢ぞろいし、もう一度出迎えてくれたかのような場所だったのです。Meritaliaの”La Michetta”ソファの、会場とは別の組み合わせが観られたり、前日訪れたde Padovaショールームにあったnendoの”Ishi Stone”のオリジナルバージョン(脚部の材質が木)”Ishi”テーブルも静かに存在感を示していました。また、やはり同日に訪れたHENGEの作品も見つけられました。大きなコンソールを並列で並べたようなテーブル、”K-Table”は8cmの無垢材の天板が手作業で仕上げられており、32kgにもなるというサイドテーブル”Be-mine”の鈍い真鍮の輝きが厳かでした。
ミラノサローネ会場内で非常によく目にした照明、Luceplanの”Illan”も。こちらは非常に薄くて柔軟な合板をレーザーで高密度に等間隔にカットして空間にボリュームを表現した独特なサスペンションライトで、倉俣作品の”Bookshelf”とともにアーティスティックにレイアウトされていました。このシェルフは収納部のサイズがそれぞれ異なっており、”それぞれの物に必要な空間の容積は、その寸法に比例しなければならない”という倉俣氏の考えを反映しているそうです。


Flouの”Chiaro di Luna”サイドテーブルやpoltronova “Joe”、DESALTOの”Micro Cray”にも再会。そしてAntonio CitterioとFLEXFORMの最後のコラボレーションであるという”CAMELOT”、やわらかなフォルムのB&B Italia”NOONU”ソファ、Monica Armaniデザインの”Allure O’”テーブル、Walnut無垢材の複雑な機構が美しいZanotta(ザノッタ)の”REALE”テーブルなど…殿堂の名作から最新作まで、数えきれない程の魅力的なアイコンが楽し気に集ったようなミュージアム。…そのような印象を受けたショールームでした。
ミラノサローネ会場とミラノのショールームを通して感じたのは、いつの時代でも常に新しいものを創り出す発想と、惜しげもなくそこに労力を注ぐ情熱がこの土地には活きている、という感覚でした。最終日も清々しい程に晴天で、イタリアが生み出す無二のデザイン達に、この、芸術を大切に包み込んでいるかのような素晴らしい場所で再会出来たことは、この旅でもらった贈り物のように感じました。

Knoll International “Barcelona chair”

奥にはpoltronova “Joe”



Day #6 Friday, April 12
翌日12日、朝焼けが包む空港から飛び立ち、帰国。盛沢山のデザインから浴びた春の嵐のような印象をそのままお届けしようと、まずは雑然としたレポートとなりましたが、撮影してきた画像1700枚超、動画90本超の情報をこれから更に少しずつご紹介していけたらと思います。長くなりましたが、お読みくださり誠にありがとうございました。
★そして、常に出来得る限り画像や動画でお伝えしようと努めているものの、やはりこのような素晴らしいショップを”直に”ご覧いただき、実際に家具を見て、触れて、座って頂くことが、家具をお選びいただく上でこの上なく良い手段となることを確信致します。弊社IL DESIGN(イル デザイン)はこれまでも直にお客様をご案内し、大変ご満足を頂けた実績を重ねてきております。現地ブランドショールームへのご案内にご興味のある方は是非お問い合わせください!
