Everybody knows them – TON Chair 14 & 811

TON "Barstool 14" at Capo Boutique Hotel (*1)
TON “Barstool 14” at Capo Boutique Hotel (*1)
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Everybody knows them
TON “Chair 14 & 811”

私たちIL DESIGN(イル デザイン)はチェコの老舗チェアブランド、TON(トン)の正規輸入販売代理店となりました。喫茶店やレストラン、あらゆる場所で目にする名作チェア達を生み出し、今もなお人気を博しているこのブランドとそのアイコンとなるチェア達について、本日は改めてご紹介致します。

TONの精髄。生産を司る人々
TONの精髄。生産を司る人々
目次

160 Years Strong: Innovating Tradition, Shaping Tomorrow
160年の歴史:伝統を革新し、明日を形作る

「”革新”は私たちのDNAに刻まれています。けれども私たちは、その”原点”を決して忘れません。」
常に、どうすれば最良かつ最も効率的な方法で仕事ができるかを考えている、というTON(トン)は、その仕事についてこのように伝えてくれます。「チェコ共和国の町、Bystrice pod Hostynem(ビストジツェ・ポト・ホスティーネム)で始まった木材の手曲げ加工は、今も昔も全く変わっていません。ここでは今でも、Humanity(人間)がRobotics(ロボット工学)よりも優れています。しかし、よりシンプルな木材の曲げ加工には、現在、自社工場で独自に開発した機械を使用しています。」
TON(トン)とThonet(トーネット)、その長い歴史を少し覗いてみましょう。

TON "Chair 14" at Lazitta city villa
TON “Chair 14” at Lazitta city villa

Bystrice pod Hostynem(ビストジツェ・ポト・ホスティーネム)における
家具生産の歴史

1856年に現在のチェコ共和国に最初の工場を開設したMichael Thonet(ミヒャエル・トーネット)は、Beech(ブナ)材を用いて高温の蒸気と力で曲げる木の棒を作りました。この革新的な曲げ木技術が、現代の家具とその生産の在り方を大きく変え、手ごろな価格の大量生産への移行を可能にしました。そして1861年、トーネット自身によって、旧オーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ共和国)のビストジツェ・ポト・ホスティーネムに設立された二番目の工場、ここが現在、TONの本社となっている大元となる場所です。

当時のベストセラーはチェアNo.14で、6つのパーツに分解された状態で世界中に出荷されました。1876年には工場でチェアNo.18の生産が開始され、Thonet(トーネット)の黄金時代が始まります。1903年にミヒャエル・トーネットの三男、August Thonet(アウグスト・トーネット)がデザインした不朽の名作チェアNo.30は建築家Le Corbusier(ル・コルビュジエ)を魅了し、1920年代には彼のデザインに度々採用されるまでとなりました。

1924年、戦後の発展が困難な中、かつての競合企業であった Thonet(トーネット)、Mundus(ムンドス)、Kohn(コーン)が合併し、世界最大の家具メーカー、トーネット・ムンドス・コンツェルンが誕生。これは、それまで誰もが予想しえなかった出来事でした。1930年にはJosef Hoffman(ヨーゼフ・ホフマン)のアイコニックなチェアNo.811が誕生。このコレクションは現在も彼らの製品ポートフォリオの一部であり、お客様や建築家から絶大な支持を得ています。

TON "Chair 811" at Mara restaurant & lounge (*2)
TON “Chair 811” at Mara restaurant & lounge (*2)

1945年、第2次世界大戦後、ビストジツェ・ポト・ホスティーネムの工場はトーネット・ムンドス・グループから分離され、国有化され、THONET(トーネット)と改名。その8年間の活動の後、1953年にチェコスロバキアの新会社が設立され、その名はTovarny ohybaneho nabytku(Bentwood furniture factories – 曲げ木家具工場)、略称”TON”に改称されました。その後もビストリツェ工場は生産の中心地として存続し、1989年に国営企業として法的に再編された後、1994年には民営の株式会社となりました。国の政治体制の変化により、新たな市場への方向転換が必要となり、他社の家具製造拠点となるか、自社で家具を製造し続けるかという決断を迫られたTONでしたが、彼らは後者の道を選びました。

2009年、ロゴも一新されます(現在は更に新たなロゴに革新されました)。2011年には創業150周年を記念して、チェアNo.14を6ピースから3ピースにリ・デザインしたチェアNo.2を発表したり、2022年にはClaesson Koivisto Rune(クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)が名作No.811のオリジナルシェイプを21世紀向けに再構築したりなど、TONの探求は止まりません。

現在のTONのアートディレクターであり、TONの最新カタログの中でも最も成功を収めたコレクションの一つであるMerano(メラーノ)チェアシリーズをデザインしたAlexander Gufler(アレクサンダー・グフラー)は言います。

「未来の家具は木で作られるのでしょうか?私はそう願っています。なぜなら、木は私たちの生活や住まいに、土臭く自然な要素を添えてくれるからです。家具が木で作られる限り、曲げ木はその個性、伝統、そして遺産ゆえに、重要な要素であり続けると確信しています。

この考えを表現するために、私は曲げ木で永遠のシンボルをデザインしました。」

"Eternity" designed by Alexander Gufler
“Eternity” designed by Alexander Gufler
TON "Barstool 135" at The Great Madras (*3)
TON “Barstool 135” at The Great Madras (*3)

― これら、Bystrice pod Hostynem(ビストジツェ・ポト・ホスティーネム)の曲げ木家具の進化を形作った歴史的出来事と発展については、チェコのアート・キュレーター、Adam Stech(アダム・ステッチ)によって259ページに渡り解説・執筆され、”TON”の支援により出版された本「± 160 Years」でより詳しく知ることが出来ます。

今年2025年4月、ミラノデザインウィークにて”Next Place Hotel”という展示場に出展していた”TON”を訪問した私たちイルデザインが、エリアセールスマネージャーのRadek Skacelさんに彼らの歴史について質問すると、彼はこの分厚い本を指し示しながら、”丁寧に解説するとこれくらい語るべき内容があるのですよ”、と微笑んだことは記憶に新しい出来事です。いずれ彼らの工場に赴き、その歴史が生み出した彼らの仕事を直に学び、皆さまにお伝えしたいと思いますので、お待ちいただけましたら幸いです。


商品のご紹介

※下記価格は2脚set、税込みの参考上代です。
※送料無料(沖縄・離島除く)※宅配便(玄関先渡し)
納期:約5ヶ月前後
※下記シリーズには様々な仕様がございます。
シートの種類等により価格は異なりますので是非お問い合わせください。

TON "14シリーズ"
TON “14シリーズ”

TON “Chair 14”

品番: #315 014 (2脚set)
参考上代: ¥127,600

幅41x奥行51.5x高さ84, 座面高46 cm
フレーム: Beech
シート: Cane(籐)

1859年に初めて製造されたチェアNo.14は、大量生産家具のイメージを一変させました。そのエレガントなフォルム、軽さ、丈夫さ、そして手頃な価格が、このチェアの揺るぎない人気を不動のものとしました。現在までに8,000万脚以上が販売されています。

TON "811シリーズ"
TON “811シリーズ”

TON “Chair 811”

品番: #317 811(アームレス 2脚set)
参考上代: ¥154,000

幅45x奥行53.5x高さ80, 座面高46 cm
フレーム: Beech
シート: ファブリック(Cat.3)
背もたれ: Cane(籐)

811コレクションの基礎は、オーストリアの著名なデザイナー、Josef Hoffmann(ヨーゼフ・ホフマン)によって約1世紀前に築かれました。彼は、人目を引く曲線的なフォルムの組み合わせをデザインし、非常に快適な座り心地を生み出しました。アール・ヌーヴォーのインスピレーションがはっきりと受け継がれていながらも、籐編みの背もたれと、布張りの椅子やバースツールの座面を組み合わせることもできます。


TON "Chair 14&811" at 東京デザインセンター6F イル デザイン
TON “Chair 14&811”
at 東京デザインセンター6F イル デザイン
★私たちIL DESIGN(イルデザイン)は、TON(トン)の正規輸入販売代理店としてチェコのメーカーから直輸入、お求めやすい価格をご提供しております。サイトに掲載の無い商品についても取り扱っております。また、チェアのサンプルを直接ご覧になりたい場合は、ご予定日の2週間程前に下記連絡先より、是非お気軽にお問い合わせください。

IL DESIGN ONLINE “TON (トン)” ページ
https://www.shop.italia-kagu.com/ton

“TON (トン)” 本国サイト
https://www.ton.eu/en

Adam Stechによる書籍「± 160 Years」についての本国ページ
https://www.plusminus160.com/

☆本記事の内容は2025年8月12日現在の情報です。

画像クレジット: 
*1) Capo Boutique Hotel
Country: Lebanon
Products: 14 Barstool
Architect / Interior designer: Carl Gerges Architects
Realisation: 2022

*2) Mara restaurant & lounge
City: Dubai
Products: 811 Chair
Designer: NAQSH Architecture
Photography: Oculis Project
Realisation: 2021

*3) The Great Madras
Country: Singapore
Architect: http://www.farm.sg/
Realisation: 2018
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